10月11日の読売新聞の朝刊にユーゲントの記事が掲載されました。
全国版なので地域により若干掲載ページに変動がありますが、くらし・教育面の勝方信一さんの連載「教育現論」の中に掲載されています。今回は農村プロジェクトについて取り上げられています。
(以下引用)
故郷に響け、僕らの楽団
「春の山は、木々の芽吹きで山吹色。夏の空は、少し湿気がある感じで、白みがかっている。秋の空はからっとして、上まで抜けている。冬、雪が降り積もると音が消え、静けさのあまり耳鳴りがするほどです」
埼玉大教育学部2年竹内和也さん(20)が語る故郷の風景だ。農村の季節の移り変わりがありありと伝わってくる。
竹内さんの故郷は長野県上田市武石。美ヶ島高原の山裾に位置し、一昨年、同市に合併するまでは、武石村と呼ばれていた。その武石地区で先月中旬、小さなコンサートが開かれた。竹内さんが、首都圏の大学生、社会人による市民オーケストラ「ユーゲント・フィルハーモニカー」に呼びかけ、実施された。
竹内さんは、地元の中学で吹奏楽部、高校で室内楽班に入り、コントラバスを弾いていた。高校では、全日本高校選抜オーケストラフェスタ(全日本高校オーケストラ連盟、日本青年館主催、読売新聞社など後援)に出場した。大学に入学すると、フェスタ経験者を中心とするユーゲント・フィルハーモニカーに迷わず参加した。武石公演は、郷里と都会での音楽仲間という竹内さんにとって大切な二つの世界が結びついたものだった。
レンタカーに分乗して武石にやってきた音楽仲間19人は初日、竹内さんの母校の中学で、後輩の吹奏楽部員と交流した。3ヶ所の老人ホームで演奏した。2日目は、農村都市交流事業を薦めている地域団体「信州『せいしゅん村』」の紹介で農業体験をした。そして3日目は、公民館でコンサート。案内は有線放送で流された。フルオーケストラの「荒城の月」や「浜辺の歌」に涙ぐむお年寄りもいた。
竹内さんは「故郷の人にフルオーケストラの音楽を届け、仲間のみんなには故郷を見てほしかった」と振り返る。市教委や地域自治センターに協力を求め、老人ホームへの連絡は介護職員の母親に頼んだ。
「ふるさとは遠きにありて思ふもの」と、室生犀星の詩にある。若い時、故郷否定、故郷喪失の感情を抱くことがある。それは成長への一つのステップかもしれない。だが、竹内さんの行動も新鮮だ。こんな故郷との向き合い方もあるのか、と考えさせられた。素直に故郷を愛し、何かできることは、と考えられるのは幸せな関係だ。
同フィルハーモニカーが掲げる理念に「『社会にオーケストラがどのように貢献できるか』を模索していきたい」とある、武石でのコンサートは、その体現だった。メンバーは、養護学校や動物園でも演奏している。高校の部活で知り合った人たちの活動の輪が広がりつつある。
一昨年に続き大変素晴らしい記事を書いてくださった勝方さんにこの場をおかりして感謝の意を表したいと思います、ありがとうございました。
ユーゲント創設当初から掲げていた理念が、少しずつ実を結びつつあります。これからも「音楽になにができるか」を考えながら、団員一同幅広い活動を行っていきたいと思います。
by taxi
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