今年も9月の三連休(18~20日)に農村プロジェクトを行いました。
昨年の
第2回農村プロジェクトに引き続き、今年も長野県の上田市武石を訪れさせていただきました。17日の夕方から東京音大で練習をして、21時に武石に向かい出発。深夜に現地入りしました、深夜にも関わらず団員はとりあえずビールを飲みました。ちなみに飲み始めが深夜2時でした。(笑)
18日の午前中はさっそくアンサンブルの練習、午後から弦楽隊と管楽隊をそれぞれ2グループに分けて、それぞれ介護施設「いこい」と「ともしび」を訪問し演奏を行いました。例年、弦楽器によるアンサンブル演奏のみだったのですが、今年は新しい試みとして管楽器(木管五重奏)を加えてみました。
僕自身は「ともしび」を訪問させていただいたのですが、「声が出ないけどアンコールしていいか」と筆談で言ってくれたおじいちゃん(犬のぬいぐるみをとても大切そうに抱いていた)がとても印象に残っています。涙を流しながら聴いてくださった方もいて、演奏している僕たちも感激しました。
夜からは里の秋コンサートに向けた練習を行いました。こう書くと、練習ばかりしているようですが、ちゃんと練習が終わった後は遊びます(笑)。夕食の豚しゃぶを食べた後はそのまま飲み会に突入、しばらく飲んだ後は外に出て花火大会をしました、みんな子供のように大はしゃぎしました。
宿に戻ってからはそれぞれが持ち寄ったお気に入りの日本酒を堪能。自分は故郷福島の地酒「大七」(蔵元が実家から徒歩3分!)の最高級純米大吟醸(1万円)を持参し、滅多に飲めない極上の味を楽しみました。実は今回のメンバーの中には米所にして酒所でもある福島出身の団員が4人いて、4人とも当然のように日本酒を持ってきてました。(笑)
そう、団員にとっての農村プロジェクトの隠れたもう1つの醍醐味は宿泊先「えんでやハウス」での集団生活。大自然に囲まれた素晴らしい環境の中で、ご飯を皆で自炊し、美味しい酒を飲んで、楽器を弾いて…とまるで大学オーケストラの合宿のような楽しい生活ができるのもまた楽しみの一つなのです。参加者にリピーターが多い一因にもなっています。
21日は朝から武石地域の各家庭に入り農村体験、稲干しや収穫作業のお手伝いをさせていただきました。お昼には各家庭でとれた野菜をふんだんに使った料理をご馳走になりました、たくさん汗をかいて農作業をした後に食べる取れたばかりの野菜は美味しかったです、食の大切さを肌で感じることができました。農家の息子じゃなくてもご飯は残さず食べたいものです。農村体験の後は「うつくしの湯」という温泉施設に行ってリフレッシュしました。
夜からはまた演奏会に向けた練習。ユーゲントフィルは本体70人を越えるフルオーケストラなのですが、まとまったスケジュールを全員がとれるわけではないので農村プロジェクトでは約30名による中編成のオーケストラになっています。そんな限られた編成の中で様々な作品を演奏するために、色々な楽器に違うパートを兼任してもらうことで作品として成立させていく作業をしていきます。
その振り替えの判断は毎年指揮を振っている自分が担当しています。例えば今回はボロディンの「中央アジアの草原にて」で本来コーラングレ(木管楽器)が吹く旋律をトランペットに吹かせました。クラシックに詳しい方は、
「えー!木管楽器の音をトランペットで!?オーボエに吹かせた方が良いんじゃないの?」
そんな風に思うでしょう。しかし実際に演奏を聴いた方はお分かり頂けたと思いますが、音色とニュアンスを調整すればトランペットはオーボエよりもずっとコーラングレに近い音になるのです。
これは団員にとっても新鮮な発見だったと思います。そんな最初は編成の都合上仕方なくやっていた「現場主義」の音作りも、今となっては農村プロジェクトの面白さの1つになりつつあります。
練習後はいつも通りの飲み会、ほろ酔いで練習を始める団員もいて、正に音楽と酒のある幸せな日常が広がっていました。「音楽と酒」、どちらも無くても本当は生きていけるものですがこれが無くては人生は砂漠のようにカラカラになってしまうでしょう。「心を満たすもの」という点において音楽と酒は双子のような存在だと思います。
そして最終日は、上田市武石公民館のコミュニティホールにてコンサートの本番。朝は6時起きで朝食を食べて「えんでやハウス」を掃除し、8時半から会場でリハーサルというなかなかのハードスケジュールでした。本当は疲れも眠気もピークの最終日ですが、団員は皆「気合いと情熱」で頑張りました。
「ユーゲント・フィルハーモニカー 第3回 里の秋コンサート」
指揮:安斎拓志
《曲目》
・ビゼー/劇付随音楽《アルルの女》より「ファランドール」
・滝廉太郎/荒城の月
・作曲者不詳/ふるさと
・三木たかし/津軽海峡・冬景色
・ボロディン/中央アジアの草原にて
・ベートーヴェン/交響曲第6番《田園》
・チャイコフスキー/バレエ《くるみ割り人形》より花のワルツ
---アンコール---
・成田為三/浜辺の歌
・北村季晴/信濃の国
・J.シュトラウス/ラデッキー行進曲
自分の指揮の合間に挟んだ曲紹介のトークも今年は工夫をして、作品を演奏するまえに曲に登場するモチーフ(メロディ)をその意味と共に紹介してから演奏するという、レクチャー形式を取ってみました。バーンスタインが昔ニューヨークフィルとやっていた「ヤング・ピープルズ・コンサート」をイメージした構成でした。コンサートは終始和やかなムードで、演奏者も聴衆も楽しめる演奏ができたのではないでしょうか。
コンサートの後は昨年と同様に農村体験で訪問した各家庭の方との交流会を行いました、皆さんの心の温かさと、それぞれの家庭が持ち寄ってくださった料理の美味しさに感激しました。去年も同じ言葉を書いたのですが、「プロジェクトに関わった全ての人が幸福になれる」この「素敵な関係」をこれからも続けていきたいと改めて思いました。
そんな農村プロジェクトの詳しい様子は写真館にアップしましたのでご覧下さい。
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第3回農村プロジェクト@武石最後になりましたが、今回の農村プロジェクトを迎えるにあたりご協力を賜りました『信州せいしゅん村』の皆様、佐藤新聞店の皆様、いこいの皆様、ともしびの皆様、上田アンサンブル・オーケストラの皆様、上田市民吹奏楽団の皆様、地域の皆様に、この場をお借りしてユーゲントフィル団員一同、改めて厚く御礼申し上げます。
10月からはいよいよ定演に向けた練習がスタートします、団員一同頑張ってまいりますのでこれからもユーゲント・フィルハーモニカーをよろしくお願いします。
(長文・乱文、失礼いたしました。)
by taxi
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